今日、私の会社がつぶれると正式なアナウンスがありました…。
なぜ会社がつぶれるのか
LabCentralで働いていると、中に入っているレジデントの新陳代謝が早いのが体感できます。となりのスタートアップがつぶれたから次のスタートアップがくるよーってのがよくありました。基本的にLabCentralに滞在できるのは2年が原則なので、その間に実験し、そのデータを元に資金を調達して次の場所に移動しなければなりません。
私の会社も次の場所を探してたので、まさか自分の会社がつぶれるとはびっくりしました。しかし、これがリアルなバイオテック業界です(泣)
つぶれてしまう理由ですが、単純に私たちがターゲットにしている分子の阻害剤が得られなかったからです。いろいろなスクリーニング系を試していくつかの候補薬はあったものの、真に「特異的な阻害剤」というのに十分なデータが得られませんでした。
このことから少なくとも私たちが試した化合物ライブラリーの中にはGasdermin Dの阻害剤はなかったということになります。他の記事でも書いたかもしれませんが、メンバーは非常に優秀で熟練のドラッグディスカバリー経験者です。もしかすると、そもそもGasdermin DはDraggableなターゲットではないかもしれません。
将来的には他の化合物ライブラリーや新たなモダリティを使ってGasdermin Dの阻害薬を見つけることができるかもしれませんね。
そもそもバイオテックスタートアップの成功率は?
Nature Biotechnologyのおもしろい記事を見つけました。アカデミアからライセンスを受けたスタートアップの成功率を調査したものです。完全に全てのスタートアップを網羅しているとは限らないとは書いていますが、1980年から2013年のコンプリヘンシブなデータは一見の価値があります。
何をもってして「成功した」というかは状況によって異なると思います。ここでは以下を成功(Economic success)したとして見ています。
- どこかに買収された場合
- IPOした場合
買収が13.3%、IPOが10.2%となってるので、合計約23.5%のスタートアップしか成功してません。こうしてみるとやはりチャレンジングですねー。しかし、楽観的に考えると約4社スタートアップに行けば1社は成功するかも?
最後に
今回は残念な結果になってしまいましたが、チーム全員で全力で取り組んできたので後悔はありません。次も懲りずに創薬スタートアップへの転職を考えているので、今回学んだことは必ず役に立ちます。
アメリカのインダストリー経験全般、ボストンインダストリー内のネットワーク形成、プレクリニカルなプロジェクトのマネジメント方法などなど、とてもエキサイティングな体験ができました。
それにしてもちょうど家を買ったタイミングで会社が潰れるってなんということでしょう…。無職になりつつあるボスサラは果たして家の30年ローンの支払いができるのか?!
つづく…