アメリカの創薬研究者が無職になったらどうなるのか?

キャリア

こんにちは、元創薬スタートアップ研究者のボスサラ(無職)です。

最近、「無職になって大丈夫?」とよく聞かれます。

今日はその疑問に答えます。

また、前回の記事(会社がつぶれた時に気づいたこと)でも説明した通り、転職活動の近況報告も少しアップデートします。

無職になってから…

以前の記事(アメリカで民間企業の研究職に就くには?〜アカデミアから民間企業へ〜【②】)でも書いたように、アカデミアからインダストリーの就職活動では何社からも断られた苦い思い出があります(泣)。なので、会社がつぶれて最初に思ったことは「げっ、次の職どうしよう…すぐ見つかるのかな?」でした。

しかし、意外にもLinkedInのメッセージやEmail、電話などですぐに複数の会社からアプローチがあり、

「会社がつぶれたの残念だったね。うちの会社興味ない?」

「今こんなの募集してるけどどう?」

とお声がかかるではありませんか。

また、リクルーターからも多くの連絡があり、返信ができなくなるくらいのメールが届いたのです。

こ、これは一体どういうことかーっ!?

以下の理由が考えられます。

1.  私が今働いている会社のCEOや他のメンバーらが次の職探しをバックアップ

私の以前のスタートアップのコアメンバーは従業員に対してものすごく親切でサポートをしてくれます。あらゆる手段を使って私や他のジュニアメンバー全員の次の職をなんとか確保しようしており、例えば、私たちの履歴書をあらゆる場所に送ってくれていました。

会社のコアメンバー、いわゆるCxOはバイオテック業界にずっといるのでネットワークが広く、求人情報もいち早く手に入ります。彼らの知り合いでサイエンティストを探しているところがあるので、そういった会社の情報も教えてくれました。

2. 会社がつぶれるという正式アナウンスの影響

今回、C E Oはツイッターやバイオテック系のニュースなどの媒体で正式に会社がつぶれることをアナウンスしています。山ほどあるスタートアップの中、普通は誰にも知られずに会社がなくなるパターンが多いのではないでしょうか。その場合、リクルーターなど求職者にアプローチする側は情報がないので職を失った従業員に対して速やかにコンタクトができません。

しかし、公に会社がつぶれるとアナウンスすることで、職を探すとわかっている人材に対してリクルーターや他の会社の人事などがすぐにコンタクトできます。リクルーターも需要があるところにアプローチした方が効率いいですよね。


3. バイオテックブームを背景に業界全体的に人材を募集している

以前の記事(私がボストンのバイオベンチャーで働いて気づいた3つのこと)にも書きましたが、近年のバイオテック業界は資金が豊富です。VCからの資金が多いということはそれだけスタートアップの数も多く、そこで働く人材も必要になるということだと思います。

実際に、私が話をしたリクルーターや人事は口を揃えて「今、バイオテックのマーケットはすごくいい状況」と言っていました。今後、この傾向がいつまで続くかわかりませんが、今のバイオテックブームが私の転職活動の追い風になっていると感じています。

この状況なので少なくとも今回はLinkedInの公募には一切応募せずとも大丈夫そうです。

しかし!!

誰かから連絡がきてインタビューをしているというだけで、次の仕事が決まったわけでもありませんし、無給である事実は変わりません(泣)。アメリカでの転職活動では正式なオファーをもらうまでは何もないのと同じです。

インタビューやプレゼンの準備をしっかりして、最後のオファーをもらうまでは気をぬかず転職活動をしなければ…

次のポジションの条件

お誘いが来るのはいいのですが、リクルーターや人事が自分の興味がある仕事をピンポイントで紹介してくれるわけではありません。自分の領域とは全く異なるものでお誘いが来るときもあります。

全てに対して返信していてはキリがないので、まずは自分の興味があるものをピックアップしなければなりません。私はその中でも自分のバックグランドとマッチし、キャリアアップにつながると思った創薬スタートアップを候補として絞っていきました。

今回、私は会社を選ぶ際に以下の条件を重視して絞って行きました。

1. マネージメントチーム、ボードメンバーによい評判と実績がある

これは前の会社で学んだことです。チーム、特に経営に関わる人物の評判や実績があるかなどはその会社が成功するかどうかや、将来のキャリア形成においても重要になると思います。

前の会社ではターゲットが難しいものだったという理由でダメでしたが、チームは素晴らしいので他のプログラムであれば成功していたかもしれません。またそういった経験者の多くはよいメンターでもあり、従業員のキャリア形成をしっかり考えてくれます。

2. サイエンス/技術が革新的で将来性がある

私はサイエンティストなので会社のサイエンスと自分のバックグラウンドや興味とマッチするかを重要視しました。ホームページでは表面的な内容しか書かれていない場合が多いので、インタビューの際に詳しく聞きましょう。特許技術であればコアな部分は教えてはくれませんが、概要はつかめるはずです。(会社によってはインタビューのあとにConfidential Disclosure Agreement (CDA)を結んで、ようやく詳細を聞くことができるなんてところもありました。)

私はビジネスに関してはあまり詳しくありませんが、会社のサイエンスや技術を基にどのようなことをしようとしているのかなどを調べました。例えば、プラットフォームの会社であれば、それを使って何をターゲットにした創薬を行うのかなど。また、競合他社の似たような技術と比較して成功例はあるのかなどの点を見ました。

3. 組織の構造と自分と関わる人が明確

これは自分が実際に働いていると仮定し、イメージトレーニングをするような感じです。その会社に入ればほぼ毎日働くわけですから、どういう組織の中で自分が誰とどれくらい働くかはとても重要ですよね。私は自分が働く部署の従業員が何人いるか、誰に報告するか、部下はつくのか、誰とよく働くことになるのか、などをよく聞きます。

私の感覚ですがインタビューの際に相性が合いそうかはなんとなくわかります。特に上司に当たる人と会話して、この人とは合いそうにないなーと思ったら即座に候補リストから外しています。(というか向こうもこちらに興味がない可能性大)

4. VCからの資金が潤沢

スタートアップに就職するならバックのVCがどんな会社か、どのくらい資金があるのかを調べておくのも、重要なファクターになると感じました。有名で実績のあるVCであれば心強いですよね。また、お金がないと研究もビジネスもできません。

VCの情報は大抵の場合ホームページに載っていますし、インタビューの際にも聞けると思います。また、私は資金調達のステージや金額、runway(今後、ビジネスを続けていくといつ資金が枯渇するか)などの情報にも注目しました(次の会社はつぶれないで欲しいなー)

これらの条件に当てはまる会社と話をしてみて、お互いの興味や価値観がマッチするかを絶賛模索中…

最後に

ということで、アメリカの創薬研究者が無職になったら…

なんとか大丈夫だけど転職先の選定など、けっこうやることがあります。

また時間を見つけて、転職活動に進展があればアップデートします。

お楽しみに!

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