人生2社目の創薬スタートアップで働き始めました

キャリア

こんにちは、ボストンの創薬スタートアップでコンサルタントとして働いているボスサラです。 

そうなんです。もう、無職ではありません(笑)。

前回の記事(創薬スタートアップへの転職活動日記【2021年4月2日】)で書いていた会社のオファーにアクセプトのサインをしました。

早速、今週から働いているのでアップデートの記事を書きます。

どんな会社で何をするの?

今回のアクセプトした仕事はいわゆる契約社員で、まだ正社員ではありません。この理由は会社自体がまだベンチャーキャピタル(VC)から出資を受けていないからです。オファーのアグリーメントは3ヶ月間、つまりこの期間内にVCからのシード資金調達が終わると想定しています。

シード資金の調達が終われば、そのまま正社員サイエンティストとしてラボでの実験を行う予定です。それまではコンサルタントという立場で会社の立ち上げに関わる業務になります。

シード資金調達前のスタートアップなんてリスクが高いと感じる人もいるかもしれません。またつぶれるかもしれませんしね…(苦笑)。でも個人的には新たな学びの機会にワクワクしています。

さて、どんな会社かというとまだステルスモードなので残念ながら何をやっているか詳細は書けません…。今書ける情報は、低分子化合物のプラットフォーム技術を持つ会社ということのみです。

そのうちホームページとかができれば少しは何をやっているかを書けると思いますのでお楽しみに!

最近の薬のモダリティ

さて、会社の技術が低分子化合物のプラットフォームということで、近年のFDA承認薬とそれらのモダリティとの関連について調べてみました。

最近は抗体医療や再生医療など新しい治療薬の情報をメディアでよく目にしますよね。低分子化合物の時代は終わったのでしょうか?データを見てみましょう。

Asher Mullard 2020 Nat Rev Drug Discov. 2020 FDA drug approvals

上の図は2020年にFDAによって承認された薬のモダリティに注目したものです(1)

2020年には合計53個の薬がFDAによって承認されていますが、そのうち38個は低分子化合物となっています。なんと2020年の段階においてFDAに承認されている薬の70%以上は低分子化合物が占めているのです。(低分子化合物がこんなに多くて意外に思ったのは私だけ?)

低分子化合物は昔から使われている歴史のあるモダリティの一つです。書籍The Drug Huntersってご存知でしょうか?

The Drug Hunters: The Improbable Quest to Discover New Medicines

創薬の歴史を事実に基づいたストーリーで勉強できるので、創薬研究者にオススメです。(個人的には1800年代の麻酔薬を探すスクリーニング方法が面白かったです。研究者が一つ一つ有機化合物を吸っていき、何も起こらなければ活性なし。でも床に倒れた状態で目が覚めたら活性ありと判断していた、なんて衝撃エピソードに笑ってしまいました。)

Drugという言葉はフランス語 “drogue”≒“dried herbs”から語源があります(2)。事実、人類は昔から薬草などの天然物を治療薬(Drug)として使ってきました。

薬草には様々なものが含まれていますが、その中に薬効を示す低分子化合物も含まれている場合があります。昔はそれら化合物を精製、単離、同定して治療薬にしていたのです。

しかし、医学研究が進んだ現在では低分子化合物以外にも新たなモダリティが台頭し続けています。

  • Monoclonal antibody
  • Antibody-drug conjugate (ADC)
  • Nanobody
  • Anti-sense oligonucleotide
  • Recombinant protein
  • Viral gene therapy
  • Oncolytic virus
  • mRNA therapy
  • CRISPR
  • Cellular immunotherapy
  • Microbiome
  • etc..

数え挙げればキリがないですね。

新しい革新的な技術が次々と出て、その都度ニュースに大きく取り上げられたりするので記憶に残ります。それにもかかわらず、現段階ではFDAで承認された薬の大半は上記のような新しいモダリティではないんです。

そして、これは過去を振り返っても同じです。例えば2019年にFDAで承認された48個の薬の内35個は低分子化合物で、約73%は低分子化合物なのです(3)。当然、将来はこの割合がどうなるかわかりません。しかし、少なくとも現時点では古くから使われている低分子化合物が主なモダリティということです。

また、最近ではArvinas, C4 Therapeutics, Kymera Therapeuticsなどのタンパク質分解を促進するような次世代低分子化合物の開発も非常にホットなトピックとなっています。このような背景から、今後も低分子化合物の時代は続くのではないでしょうか。

ということで、新しい会社の低分子化合物プラットフォームを利用して良い治療薬を開発できるよう頑張ります。

最後に

ついに無職ネタが終わってしまいました(笑)。

3月中旬に人生初めて働いていたスタートアップがつぶれてから、一時はどうなるかと思いましたが、あとを振り返ってみると良い思い出になりそうです。

人生2社目の創薬スタートアップは低分子化合物プラットフォームの会社になりました。

もう一度1からのスタートで心機一転、頑張ります!

References

  1. Asher Mullard 2020 Nat Rev Drug Discov. 2020 FDA drug approvals
  2. The Drug Hunters: The Improbable Quest to Discover New Medicines. Donald R. Kirsch & Ogi Ogas
  3. Asher Mullard 2019 Nat Rev Drug Discov. 2019 FDA drug approvals
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